沖縄、多頭飼育の事例33件 19~22年 条例制定へ作業 行政の悩みとは


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沖縄県庁

 環境省は2021年3月に「人、動物、地域に向き合う多頭飼育対策ガイドライン」を公表した。多頭飼育問題に対して、飼い主の経済的な困窮・社会的な孤立に同時に対処するために、動物愛護部局と動物愛護団体だけではなく、社会福祉部局や地域といった多機関・多職種で連携することを訴えた。

 環境省は18年、「社会福祉施策と連携した多頭飼育対策検討会」を立ち上げ、飼い主への社会福祉施策を軸に据えた議論を重ねた。事例の調査・分析をした上で、問題の予防、早期発見・早期対処のために多機関・多職種による、社会福祉的な支援の必要性を訴えるガイドラインを策定した。

 県環境部自然保護課によると、19~22年の間、県動物愛護管理センターなどが確認した多頭飼育の事例は33件あり「市町村の社会福祉部局と連携して対処した事例が数件ある」という。ただ「動物愛護管理法に基づいて初動に当たるセンター職員が飼い主の困窮・孤立にどこまで立ち入っていいのか、悩みがある」と説明する。

 県は動物愛護管理条例の制定に向けて作業を進めているが、多頭飼育問題の予防も目的の一つとしている。自然保護課は「県、市町村の社会福祉部局、動物愛護団体といった多機関・多職種連携の強化を検討していきたい」とした。
 (安里周悟)