受賞に喜び、さらなる創作意欲 新報文学5賞贈呈式


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贈呈式を終え、来場者から花束を受け取る受賞者たち=22日、那覇市泉崎の琉球新報ホール(小川昌宏撮影)

 琉球新報文学5賞の贈呈式が22日、那覇市泉崎の琉球新報ホールで開かれた。受賞者9人はユーモアを交えながら受賞の喜びと今後の意欲を語り、関係者らが集う会場は温かな空気に包まれた。

 山之口貘賞の林慈(めぐむ)さんは、沖縄民謡めでたい節の歌詞を紹介し「私の思いと同じだ」と喜びを表現した。短編小説賞正賞の八重瀬けいさんは「いろんな方々に支えられてこの場にいると思う」と、家族や文学仲間に感謝した。

 俳壇賞の大湾宗弘さんは「自然体で自分の素を出す方がいい」と、大らかな語りであいさつ。短い時間で言い足りなさを残したが「それを余白と言う」と、会場の笑いを誘った。遠藤石村賞の島袋直子さんは「感動は心を揺さぶり、心を太らせる」と話し、創作につながる感動の力を強調した。琉球歌壇賞の前原真弓さんは、会場を訪れた師や友、家族の名前を読み上げ、一人一人と目を合わせて感謝を伝えた。

 児童文学賞短編児童小説部門正賞の比嘉稔さんは、書き始めた頃のようにアイデアが湧かないという苦悩も吐露しながら「これからも書き続けたい」と意欲を述べた。同佳作の水(みず)蝸牛(かたつむり)さんは「次は正賞を取りたい」と向上を誓った。

 児童文学賞創作昔ばなし部門正賞の宮國敏弘さんは、地元のみゃーくふつ(宮古言葉)であいさつ。森の火事で動物が逃げ出す中、小さな体で火を消そうとしたハチドリの物語を紹介し「私も一滴の水を垂らすハチドリになりたい」と、ひたむきな意欲を語った。同佳作のつきなが海詩(みうた)さんは「私の野望は子どもに話を届けること」と、力強く語った。
 (稲福政俊)