
ロシアによるウクライナ侵攻を受け、鹿児島市の修道院「レデンプトール宣教修道女会」は昨年3月から、平和を祈るため、宗教を問わず人々が集う会を毎月開いている。参加者が歌うのは、聖歌「平和の歌―ヌチドゥタカラ(命こそ宝)―」。沖縄にルーツがあり、フィリピンで戦争を体験した音楽家が作曲した。
「戦争は人間の仕業、平和は正義の業」。15日、修道院に荘厳なメロディーが響いた。近所に住む70代女性は浄土真宗を信仰するが、昨春から参加しているという。「歌を通じてウクライナの人と心が通じ合えたら」
平和の歌は、新垣壬敏さん(84)=東京都=が、幼少期の体験を基に作った。沖縄出身の父の移住先、フィリピン・パナイ島で生まれた。現地は戦況が悪化し、米兵から逃れるため、終戦までの約半年間をジャングルで過ごしたこともある。全てを奪われ住むところもなくなり、沖縄戦で多くの県民が犠牲になった父の故郷へ渡った。
「二つの場所で戦争の嫌な面をたくさん見た」。戦争は起きてはならないとのメッセージを、曲に込めた。長期化するロシア侵攻に心を痛め「早い終結を祈っている」と話した。
集会で平和の歌を歌うことを提案した、修道院シスターのエルハルド・ワルトラウドさん(82)は、戦争の愚かさを伝える歌詞は「侵攻に対する私たちの思いを表していた」と話す。集会の写真や動画などを修道会のウクライナ支部に送り、励ましているという。
(共同通信)