実質賃金、沖縄2.5%減 2年連続でマイナス 名目増も物価上昇が影響 22年度


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 県統計課は2月28日、毎月勤労統計調査(従業員5人以上の事業所)の2022年平均を発表し、物価を加味した実質賃金は前年比2.5%減と、2年連続でマイナスだった。基本給や残業代などを合わせた1人当たりの現金給与総額(名目賃金)は月平均で同0.7%増の25万2536円と2年ぶりのプラスだったが、物価の上昇に賃金の伸びが追い付いていない状況が明らかになっている。

 全国の実質賃金は前年比1.0%減で、現金給与総額は月平均2.0%増の32万5817円だった。沖縄よりも給与水準が高く、実質賃金の減少幅も小さかった。

 沖縄の給与総額の内訳を見ると、基本給など所定内給与が前年比1.1%増の20万5758円で、残業代などの超過労働給与は同5.9%減の1万2503円。賞与などを含む特別に支払われた給与は同0.8%増の3万4275円だった。

 月平均の総実労働時間は、0.4%増の140.5時間。一般労働者が同0.4%増の163.0時間で、パートタイム労働者は同4.6%増の90.7時間だった。

 実質賃金のマイナスについて、りゅうぎん総合研究所の武田智夫常務は「22年は3月以降の行動制限がなく、経済が回り始める中で名目はプラスになったものの、実質については物価上昇の影響が鮮明になった一年だろう」と語る。

 物価について「エネルギー価格や為替は一頃に比べると戻ってきているが、21年秋頃から穀物の需給ひっ迫が続いている」と述べ、上昇圧力は今年も続くとの見方を示す。「実質賃金がマイナスでは、家計も徐々に消費を絞る可能性がある。先行きの景気にとってはあまりいい影響を与えない」と指摘し、官民による賃金アップの取り組みの必要性を強調した。
 (小波津智也)