沖縄県の那覇空港3階出発口付近の道路(ダブルデッキ)の混雑が常態化している。本来、那覇空港利用者を送迎する車が一時的に停車することを想定しているが、禁止されているレンタカーやカーシェアなどの受け渡しが確認されている。管理する国交省大阪航空局那覇空港事務所は「一般車も含め、ダブルデッキでの車両受け渡しや乗降待ちための駐車は禁止だ」と強調する。
ダブルデッキ付近には「車両受け渡し等の営業行為禁止」や「駐車禁止」という看板がいくつか設けられている。空港事務所は禁止行為があった場合、レンタカーには警告、カーシェア含む一般車には立体駐車場へ誘導するチラシを配っており、配布数は一般車の方が多いという。
■薄い禁止の認識
しかし、受け渡しの禁止が広く認識されているとは言いがたい。個人間カーシェアサービスのホームページでは車を貸し出す個人ユーザーが「便利な那覇空港引渡」「那覇空港3階ロビー前受渡で楽々シェア」などとうたっている。
運営企業の担当者は、那覇空港を受け渡し場所に設定しているユーザーに対して、2022年8月に駐車禁止で道交法違反になると伝えたという。「万が一ルールを守らないユーザーには、状況が確認出来次第、随時注意喚起をしていく予定だ」と答えた。
パーキングサービスなどを提供する事業者のホームページは、ダブルデッキでの受け渡しを写真付きで記載する。担当者は「レンタカー事業ではなく、受け渡しもスムーズなので禁止事項に該当しない」との認識を示した。
県レンタカー協会に加盟している事業者などは、空港1階から空港外の各事業所まで送迎バスを運行する。観光客にとっては空港での受け渡しの方が便利なことから、沖縄オープンレンタカーの本庄曽治社長は「このままでは、ルールを守っている事業者が損をすることになってしまう」と指摘した。
■対策難しく
ダブルデッキ付近では巡視員が見回り、車両受け渡しを目撃した場合は注意している。注意件数は1日10件ほど。「『れ』か『わ』ナンバーなら分かりやすいが、カーシェアは見分けがつかない」と語った。
那覇空港ターミナルビルを運営する那覇空港ビルディング(NABCO)の担当者は「法的根拠はないので罰金を科せない。警察官が監視するといなくなるが、いたちごっこが続いている」と話した。
空港事務所の担当者は「モラルの問題だ。営業行為かどうかにかかわらず、空港の秩序を保つために禁止にしている。スムーズな運行を確保したい」と話した。
(與那覇智早)