全国の自衛隊施設で核や生物・化学兵器による攻撃想定 防衛省、施設強化の方針をゼネコンなどに説明


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防衛省(資料写真)

 【東京】防衛省が全国約300地区の自衛隊施設で核や生物・化学兵器による攻撃を受けることを想定した施設強化を検討していることが2日、同省が小池晃参院議員(共産)に提供した資料で明らかになった。同省は2022年12月23日と23年2月2日、ゼネコンなど90社余、約200人を集めて施設強化に関する方針を説明していた。

 資料によると、武力攻撃などに耐えうる自衛隊施設の「強靱(きょうじん)化」を目指している。必要とされる性能の一つに、化学・生物・放射性物質・核・爆発物を用いた兵器(CBRNe)に対する防護を挙げ、施設の構造強化や再配置の実施を示した。

 主要司令部の地下化、主要施設での電磁パルス攻撃対策を施す方針を示した。建物に外気から有害物質を取り込まない設備導入や航空機の駐機場所を分散化する改修工事が想定される。

 全国約300地区に建物は2万3254棟あり、24年度にはそれぞれ建て替えや改修が必要か精査して25年度から順次、工事を実施する。

 2日の参院予算委員会で資料の内容について指摘した小池氏は「日本が敵基地攻撃能力(反撃能力)を持てば、全国がこうした(核などの)攻撃を受ける危険があるということではないか」とただした。岸田文雄首相は「自衛隊施設の抗たん性向上は、国民の命や暮らしを守るための一環として重要な要素だ」と答弁した。

 一方、今月中旬に予定される石垣駐屯地開設に関連し、長射程ミサイルの配備予定を問われた浜田靖一防衛相は配備先は決まっていないとしながら「(当初)配備しないと説明したが、いろいろな能力を考えればこれもどうなるかは分からない」と述べた。

(明真南斗)