【北谷】美浜アメリカンビレッジ地区をはじめ、観光地として知られる沖縄県北谷町が、町内で宿泊する人から徴収する「宿泊税」の導入を検討していることが4日までに分かった。4月末までに導入に関する有識者検討委員会を設置する方針だ。渡久地政志北谷町長は導入時期について「県の宿泊税導入と同時に開始したい」との考えを示した。
宿泊税は観光目的税の一種で、自治体が独自に設ける。地方の新たな財源として注目されており、ホテルや旅館などの宿泊料に上乗せする形で徴収する。税目や税率を定める条例を制定後、総務相の同意が必要だ。
町は2023年度一般会計予算案で検討委の設置などを目的とした「宿泊税検討業務」事業に約542万円を計上している。検討委のメンバーには条例に詳しい専門家のほか、町内の宿泊施設事業者や各種団体に参加を打診する予定だ。検討項目は導入の根拠や税金の使途などとなる見通し。
税額は検討委で方針を示すが、県の想定と同様に1人1泊の宿泊料につき、5千円以上2万円未満は200円、2万円以上は500円を見据えている。5千円未満の場合や修学旅行生からは徴収しない。税収は年間約1億円を見込んでいる。県は宿泊税について新型コロナウイルスの影響を受け、20年度2月議会での提案を見送ったが、22年8月発表の第6次県観光振興基本計画で「関係団体等と意見交換を行いながら取り組みを進める」としている。
税収は町独自の観光施策に充てる予定で、渡久地町長は「街並みや海を活用した独自の観光施策や、公営駐車場の拡大に活用したい。関係団体や町民の理解を得ながら進めたい」と述べた。町観光協会の屋比久里美会長は「観光振興の促進につながる」とした上で「観光から波及する経済効果が町民にも還元されることが重要だ」と期待した。
県内自治体では宮古島市や恩納村で導入の動きがあるが、県と同様に先送りされている。 (名嘉一心)