【中部】教員不足を背景に一部の公立小中学校で来年度の1学級当たり児童数が40人に引き上げられる可能性があることを受け、県教職員組合(沖教組)中頭支部は4日、沖縄市の中頭教育会館で緊急集会を開いた。学級当たりの児童生徒数の引き上げによる担任確保といった弥縫(びほう)策ではなく、教職員の増員や働き方改革などによる抜本的な解決を求めた。集会後、参加者は胡屋十字路に立ち、プラカードを掲げて問題について訴えた。
集会には現職教員や経験者、PTA関係者ら約40人が参加した。全国で最も低くなっている教員の正規雇用率を引き上げるなど本質的な問題に切り込むべきだとの訴えが相次いだ。教員1人当たりの児童生徒数が増えれば、きめ細かな学級運営が困難になると危惧する声も上がった。
沖縄市立山内小学校の教諭は慢性的な教員不足に加え、近年は学力テスト対策の補習や教員の評価システム導入で多忙となり、労働環境の改善も訴えづらくなっていると説明。「安心して子どもたちが学べるゆとりを教室に取り戻してほしい」と訴えた。
沖縄市立美里小学校のPTA会長は、病休による担任不在があった昨年秋ごろには、多くの児童が不登校になったり、保健室に通ったりする状態になり、子どもたちが安心して学校に行けなかったと涙ながらに語った。
状況は改善しているが「子どもたちが一番求めていたのは、自分たちを先生が見てくれているという安心感や対話だった。児童数が増えると一人一人と関わることが今よりも難しくなるのではないか」と懸念した。
中頭支部の盛岡稔執行委員長は「沖縄では国基準の40人上限から年次的に引き下げてきた努力は評価できる。少人数学級の見直しは根本解決にならない」と強調した。
集会宣言は「長年かけて実現した35人学級が40人になる可能性が出てきた。子どもたちの健やかな学びや成長をきめ細やかに教育、指導できない」と危機感を示した。
参加者は宣言を採択した後、胡屋十字路でのサイレントスタンディングに向かい、ドライバーらにメッセージを掲げて静かに訴えた。
(島袋良太)