沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究者で医学博士のオリガ・エリセーバさん(51)は更年期ケアの会社を起業し、女性の健康情報を発信している。気軽に女性が体の悩みを共有できる環境づくりを目指す。
ベラルーシ出身。女性の体の悩みについて、日常的に親や祖母、友人たちと何でも話す環境で育った。どのピルがいいか、どのナプキンがいいか、細かな情報を共有し、自身の参考にしてきた。
低用量ピルが避妊薬として開発された歴史に触れ「子どもをたくさん産んで、家で育児をしなければならない女性に自由を与えた薬だった」と話す。避妊以外の用法でも生理痛の緩和などメリットがあり、女性の社会進出につながったピルは「人生設計のツール」とも呼ばれる。欧米では望まない妊娠を防ぐため、10代から飲む女性も多く、無料で薬局で配っている国もある。
オリガさんは性教育やジェンダー教育を、学校や家庭で積極的に進める大切さも感じている。自身も自宅で月経前症候群(PMS)で寝込まざるを得なかった際に、子どもたちに話すことで理解を深めてもらったという。
一方で、生理痛やPMSを「我慢するのが当たり前と考えている人も多い」とも。「自分の体に対する自己決定権は自分にある。自分を知り、何がいいかを自分で決めることが大事だ」と現代女性にエールを送る。