若年性認知症の支援策探る 多機関で連携の必要性強調 当事者家族や医師らが会議


社会
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若年性認知症の支援などについて話し合う参加者ら=3日、那覇市の県総合福祉センター

 65歳未満で認知症と診断された若年性認知症の当事者が直面する生活や就労、子育ての課題を当事者家族や支援者、医師らが話し合う地域円卓会議が3日、那覇市の県総合福祉センターであった。特定医療法人アガペ会、Green Star Okinawa、沖縄認知症見守りコンソーシアムが主催した。

 県内唯一の若年性認知症支援コーディネーターの安次富麻紀さんは、支援の課題として(1)医療や福祉、介護の現場での受け入れの壁(2)障害年金など制度利用までに生じる「空白の期間」(3)自動車免許返納によって移動手段がなくなり、受診や居場所につながる機会の減少―などを報告した。個々の症状や家庭環境で支援内容が変わるため、多機関で連携するチーム体制の必要性を訴えた。

 認知症の人と家族の会県支部副代表で、当事者家族の新里初美さんは、2014年に57歳で前頭側頭型認知症と診断された夫・勝則さんを支えている体験を語った。医療機関を転々として診断が確定するまで約6年かかったことや、高齢者が多いデイサービスになじめなかった夫の姿を語りつつ「家族を支える制度がないのがつらかった」と、家族支援の必要性を強調した。

 城間クリニックの城間清剛医師は、診断が難しい側面があるとしながらも「性格や言動の変化など、家族が異変を感じたら積極的に受診をしてほしい」と呼びかけた。

 うるま市地域包括支援センターよなしろの認知症地域支援推進員、高良礼子さんは当事者が交流する「虹色ブレイクタイムカフェ」の活動などを紹介した。

 県の調査では22年3月末現在、40~64歳の1563人が認知症により要介護や要支援の認定を受けているという。
 (嘉陽拓也)