教育長のリーダーシップに期待 藤川伸治(教職員のメンタルヘルスプロジェクト事務局長)<未来へいっぽにほ>


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藤川 伸治さん(教職員のメンタルヘルスプロジェクト事務局長)

 3月の県議会も、教職員のメンタルヘルス対策や働き方改革に関わる質疑が多い。県民の声が沖縄の教育を変えつつある。例えば県教育委員会が次年度の組織改編で、教職員のメンタルヘルス対策と働き方改革の強化・推進を目的に「働き方改革推進課」を新設する。

 県外のほとんどの教委では通常、教職員の心身の健康を守るため、相談を受け付ける部署と、働き方改革を進める部署とは担当する課が異なっている。実はこれが、教職員のメンタルヘルス対策を進める上での大きな壁となっている。例えばある教職員がパワハラ問題について相談した場合、相談者の期待に応えるには直ちに当該学校の管理職へヒアリングなどを行い、事実確認や解決に向けた指導性が必要になる。しかし担当課が異なっていると、相談は受けても話を聞くだけで終わることがある。問題解決につながらないケースがあるのだ。

 20年近く関東地方の政令市の教委で、教職員の相談事業などを続けている専門医がいる。その人は「行政の縦割りを変えない限り、教職員を救えない」と憤っている。今回の沖縄での組織改編は縦割り行政を変える契機になると期待している。

 民間ではメンタルヘルス対策の成功事例が生まれ、今日では働く者の心身の健康を守る仕組みはほぼ確立しているといってよい。私たちは、文部科学省、沖縄県教委に対して民間の事例をもとに教職員の精神疾患を確実に減らす仕組みを提言している。半嶺満教育長には、縦割り行政を打ち破るリーダーシップを発揮し、教職員が生き生きと働ける環境をぜひとも実現してほしい。