景色が変わる前に 金城実倫(那覇・南部班)<ゆんたくあっちゃ~>


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written by 金城実倫(那覇・南部班)

 来年夏ごろにオープン予定の米系大手量販店「コストコ」。建設予定地の南城市玉城垣花周辺では工事が急ピッチに進められ、店舗周辺には公園や市道、住宅地、商業地などが整備される予定だ。取材で地元住民に話を聞くと、コストコの開業を期待する声がある一方、住み慣れた景色が変わることに寂しさを感じる人もいた。

 私が生まれ育った南風原町津嘉山もこの20年間で景色が一変した。最近、小学生時代の通学路を歩いた。ストレチア畑とサトウキビ畑に囲まれた砂利道はアスファルトに変わり、周囲には見上げるようなマンションとコンビニが建っていた。同級生たちの間で「はげ山」と名付けた土が盛られた場所も、現在はスーパーが営業している。

 下校途中の急な坂道には、大型犬のシベリアンハスキーのいる家があった。同級生とよくその家に立ち寄っては、犬の頭をなで、飼い主から冷たい水をもらって喉を潤した。坂を上り切ると「トントンシャー」と心地よく聞こえる、機織りの音とサトウキビの葉の揺れる音が交わり「やっと中間地点」と汗を拭った。

 私が担当する南城市と与那原町では、道路建設や宅地開発が著しく街の景色が変わりつつある。景色が変わる前に記者として記録し、後世に残していきたい。

(南城市、与那原町、座間味村、渡嘉敷村担当)


ゆんたくあっちゃー 県内各地を駆け回る地方記者。取材を通して日々感じることや裏話などを紹介する。