子どもが9歳と7歳になり、夜はゆっくり寝たり、好きなご飯を食べたりできるようになってきました。少し余裕ができた今だからこそ、改めて思うのが「子どもを優先するかしないか、時には選びたかった」ということです。
朝は何時に起きるのか、買い出しはいつ行くのか、何時まで仕事をして帰ってくるのか、夕飯に何を食べるのか、公園に行くのか、洗濯物はいつ回すのか。朝起きる時間も仕事を終わらせる時間も、自分で決めたわけではなく、子どもに合わせていました。買い出しもいつ行くか、ではなく、いつだったら行けるのか、の消去法。夕飯も私が食べたいものより、子どもが好きなもの、食べやすいものを。公園には行きたくて行っていたわけではなく、行かざるを得なかったから。
そして洗濯物をためておきたくても、子ども二人の着替えはけっこうな量と汚れになるので、すぐに回さざるを得ませんでした。育児がしたかった私ですが、何をするにも子どもの状態を最優先し、子どもの安全と健康を考え、自分のことを後回しにする切迫感があった気がします。
しかし私と対等な親であるはずのパートナーは、起きる時間も、仕事が終わる時間も、公園に行くか行かないかも選んでいて、できる時だけ引き受けていました。彼と私の圧倒的な違いは「選べていたか、選べていなかったか」だと気づいたのです。そして夫が育児をするのは私が不在の時だけなので一時的で、子どもが病気をした時などの緊急時は対応しないことが当たり前でした。
もちろんフルタイムで仕事をする彼も大変なこともあったと思いますが、私ももう少し母親としての自分以外も大切にしたかったと思います。
3月8日は国際女性デーです。女性が連帯し、女性の権利を守り、より幸せになるための日です。女性が幸せになることで、男性が不幸になるわけでなく、お互いの平等を目指すのです。諸外国に比べジェンダーギャップが著しい日本では、女性は子育てだけに限らず、仕事をはじめとする生き方全体で選択肢が少なく、わずかに選べるものから選ばざるを得ないことが多いです。そして男女ともに男性らしさ、女性らしさに縛られることが多く、憲法でも学校教育でも男女平等と習うのに、平等ではない場面がたくさんあります。誰でも、毎日の小さなことから、自分の選びたい方を選べるような毎日にしていきませんか。
いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。