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【記者解説】女性たちが不安定な雇用を「選ばされる」理由 会計年度任用職員制度の壁


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 本紙の調査で、県内の会計年度任用職員のうち女性が76.6%に上ることが分かった。有期雇用・低賃金で働く女性たちが、多様化する行政サービスの重要な担い手になっている。会計年度任用職員という働き方を選択するに至るには、短時間勤務を望んだり、自分の専門性を生かすことを希望したりと多様な理由があるだろう。だが力を発揮したいと望んでも、画一的な制度の壁に阻まれ、不安定な雇用を「選ばされている」側面もある。長期的にみると低賃金で働き続けることは、将来設計にも影響を及ぼす。

 会計年度任用職員は、定期的な人事異動がある正規職員に代わり、制度導入前から長年同じ仕事をし、経験を積んできた人も少なくない。会計年度任用職員が安心して働ける場を作り、専門性を生かした仕事を継続してもらうことは行政サービスの充実につながる。

 性別や個別の事情にかかわらず、どんな人であっても安定した雇用の元で仕事を選べる社会を実現するためにも、自治体は足元で働く労働者の声を反映し、実態に合わせた制度の見直しを進めることが求められている。
 (嶋岡すみれ)