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「官製失業?」会計年度任用職員の回数制限、自治体で違い 市部では厳格、町村は「なし」も 沖縄


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 「女性活躍」「安定雇用」の旗振り役となるはずの自治体が、自ら雇用が不安定な女性を多く生み出している実態が、琉球新報の調査で浮き彫りとなった。県や那覇市で会計年度任用職員として働く女性たちから話を聞くと、不可解な制度が生み出す「雇用の不安定さ」に憤る声が上がった。

 会計年度任用職員の雇用を不安定にしている要因は、公募を経ない「再度の任用」の回数制限にある。職員は連続で勤められる年数が限られることになり、失職の不安が生まれる。ただ、制限回数は自治体によって2~4回とばらばらで、制限のない自治体もある。総務省は運用を地域の実情に任せている。

 琉球新報の調査に、回数制限が「ある」と答えた県と17市町村のうち、制限回数は「2回」が最多の10自治体だった。「4回」が4自治体、「3回」が1自治体、2回と4回を組み合わせているのが3自治体だった。制限を設けているのは市部に多い。

 一方、公募によらない任用回数の制限が「ない」と答えたのは、町村部中心の13自治体で、主に人材確保が困難であることを理由に挙げた。「資格が必要な職種は、現在いる方が辞めると後任を確保できない」(南風原町)など、人手不足に対する切迫感も強い。

 公務員には、職務を遂行する能力がなければならないとする「成績主義」の考えと、採用で差別を受けないとする「平等取り扱いの原則」がある。総務省のQ&Aは、公募時に任用の回数に制限を設けることには「避けるべきもの」と否定的な一方、公募は「必須ではないができる限り行うことが望ましい」と推奨している。国の職員の場合は「(公募なしの場合は)連続2回を限度とするよう努める」と例示している。
 (稲福政俊)