【北中城】北中城村荻道の農道を気持ちよさそうに闊歩(かっぽ)するウマとヤギ。手綱を引くのは北中城中学校3年生の後藤さわみこさん(15)だ。学校側から校内の“草刈り担当”を任せられたヨナグニウマのゲンとヤギのシーマ、パールの3匹との登下校は約3年続き、すっかり地域の日常風景に。「最初は周囲の視線が気になったけど、今はもうみんながかわいがってくれてます」と笑う。
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きっかけは校内の美化活動だった。兄の朴然(ぼくねん)さん(17)=球陽高2年=が中学3年時の草刈りで「ウマを連れてきてもいいですか?」と提案したところ、そのまま草刈り担当に任命されたという。当初は朴然さんがウマのゲンを引き連れていたが中学卒業に伴い、さわみこさんの担当となった。さわみこさんは現在、妹のこはづきさん(14)=北中城中2年=と3匹とともに自宅から約400メートルの距離にある中学校に通う。
3匹と一緒の朝は早い。午前6時に校門を開けて校内広場の木にくくると、一度家に戻り、近所の道路の清掃活動をこなす。後藤家ではウマやヤギのほか、ウサギ8匹に犬5匹、鶏やアヒルなどもいるため、餌やりなどお世話をした後に、再び学校へ。さわみこさんは「授業時間に間に合わせるのに大変です」と話す。
さわみこさんやこはづきさんが授業の間は、せっせと校内美化活動に精を出す3匹。地域の高齢者や幼稚園児、保育園児が見に訪れることもある。
雨にも負けず、風にも負けず、夏の暑さにも負けず、共に通い続けた3年間。村外の高校に進学するため、今後は妹のこはづきさんが手綱を引く。「引き続き世話はするので特にさみしさはないかな。妹には頑張ってほしい」と言い、卒業の春を迎える。
(新垣若菜)
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