沖縄市、基地対策協議会の休止を提案 廃止の懸念も 委員「パイプ役なくなると困る」と反発


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沖縄市役所

 【沖縄】沖縄市の基地政策に住民の声を反映するために設置された、市の付属機関「沖縄市基地対策協議会」が休止となる可能性があることが、10日、分かった。昨年12月の協議会で市が休止を提案した。休止期間が示されていないことから委員は事実上の廃止を懸念し、全員が承認しなかった。市は休止について「協議会規則を改正するため」としている。協議会は有識者や自治会長、女性団体などで構成する。

 協議会の仲地健会長(沖縄国際大教授)ら委員は9日、桑江朝千夫市長と面談し、年度内の協議会再開を求めた。仲地会長は「規則改正のため休止する必要があるのか。再開のめどもなく、ずっと休止されたままにならないか」と警戒する。仲地会長によると、市長は「(全員が承認しなかったことを)重く受け止める」と発言したという。

 協議会規則では、同会は基地跡地利用計画や共同使用、基地被害対策などを協議すると定められている。市基地政策課の宮城光秀課長によると、協議会は基地返還後の跡地利用計画の協議を目的に1991年に設立された。宮城課長は跡地利用の話し合いはなされておらず「(近年は)協議の内容が当初目的とずれている」との見方を示した。「改正して協議会を再開、または別組織をつくるかも含めて検討する」と説明した。

 協議会はこれまで4市政にわたって続いている。地域の基地被害の声を拾い上げ市政に反映させ、国や県との交渉の論拠となってきた。仲地会長は「基地被害を国に相談するのは市民にとってハードルが高い。協議会はその窓口になっている」と役割を強調する。

 市には米軍牧港補給地区倉庫群の嘉手納弾薬庫内への受け入れ計画や、陸上自衛隊補給拠点の整備計画がある。委員を務める自治会長は「これからいろいろな問題が起こるはずだ。市民と行政のパイプ役がなくなっては困る」と再開を求めた。
 (石井恵理菜)