農業研修が縁、年賀状続け42年ぶりに再会 伊江島―広島 「父親代わりに世話になった」


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農業研修で広島を訪れた知念義和さん(前列左)、仲間安幸さん(後列左)と敷本馨さん(後列右)順子さん(後列中央)夫婦=1981年(知念さん提供)

 【伊江】「いやー久しぶりに会えたね!」と、沖縄県伊江村東江前の知念義和さん(61)を訪ねてきたのは、広島県三次市在住の敷本馨さん(73)と順子さん(72)夫婦。1981年9月から3カ月間、知念さんが敷本さん宅で農家研修をしたことがきっかけで互いに年賀状を送り続け、42年ぶりに再会を果たした。

 知念さんは北部農林高校を卒業後、名護市の県立農業大学校に進学した。県外の先進地研修として、牛の人工授精師の資格を習得するため、同大で金武町出身の仲間安幸さん(62)も一緒に敷本さん宅で住み込みし、朝から晩まで牛の管理や手伝いをした。

42年ぶりの再会を果たした(左から)知念さん、敷本馨さん、仲間さん=2月12日、伊江村内

 研修を終えた知念さんは毎年、年賀状を出し、マンゴーやピーナツ菓子を送るなどして交流を深めた。敷本さんも年賀状を書き続け「元気なうちに伊江島に行ってみたい」という思いから2月11日、新婚旅行以来の旅行で初めて沖縄を訪れた。知念さんは本部港で待ち合わせし、サプライズで仲間さんも合流した。バスから降りた敷本さん夫婦を出迎え、伊江島へ渡った。同日夜は4人で懇談し、12日は村内の牛農家を視察し、意見交換した。

 知念さんは「当時は父親代わりに世話になった。年賀状を通して元気な姿を見ることができて感無量。機会があれば広島を訪れたい」と喜んだ。知念さんは現在、母牛14頭を飼育しながら、村内で年間500頭あまりの人工授精に携わっている。後日、敷本さんから手紙が届き「40年余の再会でしたが、ブランクは感じませんでしたね。顔見てすぐ、あの頃の知念君、仲間君でしたよ」とつづられていた。