バスケットボールの第98回天皇杯全日本選手権大会の決勝は12日、東京都の有明コロシアムで行われ、琉球ゴールデンキングスは千葉ジェッツに76―87で敗れ、準優勝となった。キングスは前半、インサイドへ攻めながら得点を狙うも守りを固められ、シュートがリングに嫌われた。牧隼利の3連続シュートで食らいつくも、千葉は富樫勇樹を中心に複数選手が3点弾を高い確率で決め、点差を広げられて39―46で折り返した。後半に入ってもインサイドで強さを見せるキングスは、バスケットカウントから3点プレーを完成させたり、フリースローを成功させたりしたが、千葉も3点弾を引き続き高確率で沈めた。ジョシュ・ダンカン、牧、岸本隆一の連続3点弾で点差を縮めたが、千葉に逃げ切られた。
bjリーグ時代に有明コロシアムで4度の優勝を経験しているキングス。天皇杯決勝でも攻め続けたが、昨年準決勝で敗れた千葉が立ちはだかった。
「来てくれたファンの思いをより一つにできたと思う」。第1クオーター(Q)、岸本隆一の3点弾で試合が動き始めた。大歓声が湧き「やってやるぞという雰囲気をつくれた」と手応えもあった。しかし、すぐに3点弾を奪い返され、流れは千葉になっていく。
インサイドで大黒柱のジャック・クーリーにダブルチームを仕掛けられ、何度もリバウンドを奪われた。逆サイドでフリーになった所へパスし、何度もシュートを放つがリングに嫌われた。次第にそのパスも読まれ、パスカットから速攻されてしまう場面も増えた。
第4Qには4点差まで迫ったが、bj時代に岸本と優勝争いをした富樫勇樹に3点弾を決められ、その後も千葉に連続得点されて突き放された。チームとしてシュートを決めきれなかった場面が多かったことに岸本は「踏んでいる場数が違うと思った。戦術とかで説明できない部分が多く、こういう場所で何度も戦っているチームとの差なのかと思う」と振り返った。
Bリーグで戦うようになって、キングスはリーグ戦も含め、まだ日本一のタイトルには届いていない。その差を岸本は「勝ち続けるチームの貫禄、相手の流れを断ち切る強さ」と言う。優勝の喜びを知る舞台で経験した悔しさも「CSという舞台で千葉を倒すと直感的に思った」とリベンジ、リーグ制覇への原動力にするつもりだ。
(屋嘉部長将)
▽決勝
千葉J(B1)
87―76(19―15,27―24,20―19,21―18)
キングス(B1)
千葉Jは4大会ぶり4度目の優勝
【評】キングスは千葉に高い確率で3点弾を決められ、強みのインサイドもしっかり対処された。3点弾が34本中9本しか決まらないキングスに対し、千葉は40本中15本を成功させた。シュートが外れてもセカンドチャンスにつなげたかったが、ジャック・クーリーがダブルチームを仕掛けられ、リバウンドを取らせてもらえなかった。さらにターンオーバーが15と多かったことも影響した。
日本一になる力なかった
桶谷大HC(キングス)の話 今の段階で日本一になるための力がなかったと素直に思う。ここというところで決めきる力、守る力が千葉が上回ったと思っている。天皇杯決勝で負けた経験をできたのはキングスしかいないので、生かすも殺すも自分たち次第だと思っている。しっかり生かせるよう、Bリーグのチャンピオンシップ(CS)では優勝に値するチームになっていたいと思う。
チームに誇り
ジョン・パトリックHC(千葉)の話 このチームを誇りに思っている。けがが多い中、いろんな人がステップアップしている。守備の一番大事なところでジャック・クーリーやアレン・ダーラムへのダブルチームが効いて点数を伸ばせた。