考古学へ尽きぬ情熱 祝福受け思い新たに 當眞嗣一さん東恩納寛惇賞


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表彰式を終え、花束を受け取る當眞嗣一さん(左)=14日、那覇市泉崎の琉球新報ホール(喜瀬守昭撮影)

 14日に琉球新報ホールで開かれた「第40回東恩納寛惇賞」(琉球新報社主催、第一書房後援)の贈呈式には家族や研究仲間など約80人の関係者が駆け付け、考古学研究者の當眞嗣一さん(78)の受賞を祝った。當眞さんは「おめでとうございます」「みんな喜んでいます」と声をかけられながら、笑顔で花束を受け取った。

 記念講演で當眞さんは研究への情熱を生き生きした表情でユーモアを交えながら話し、会場は笑いに包まれた。野山に分け入り、200以上の城を現地調査し、「縄張り図」(平面図)を書いてきた。机上で論を語るより、現場に足を運ぶことをモットーとしており「フィールドワークが城(ぐすく)研究の要だ」と語った。

 考古学の視点から沖縄戦の実相の記録にも力を注いできた。自身も沖縄戦で家族を亡くしたことに触れ、「戦跡考古学を提唱したのは愚かな戦争を繰り返さないためだ」と力を込めた。

 選考経過を報告した選考委員の上原靜さん(沖縄国際大学名誉教授)は「當眞氏はさまざまな活動をしているが一貫しているのは誠実な人柄。社会への貢献とその影響、人物が評価された」と敬意を表した。(中村優希)