
米環境保護庁(EPA)が新たに示した水道水1リットル当たりPFOS、PFOAそれぞれ4ナノグラムという規制値案は、現行より厳しくなっているが、測定できる値という技術的なものであって、健康被害防止を目的とした値ではない。
むしろ、規制を伴わないが、がん発症などのPFASを要因とする健康被害を防ぐためには0ナノグラムとすることをEPAが求めていることに注目すべきだ。
健康被害を防ぐためには水道水だけではなく、土壌や農産物・水産物から人体に取り込まれるPFASの総体的な値を考える必要がある。米国の動きを踏まえ、日本も水道水の規制を厳しくするならば、農産物・水産物が次の重要な問題となってくるだろう。
しかし、この分野の研究は進んでいない。米国の新たな規制値案をきっかけに、PFASが環境中にどれだけ残留しているのか、また、環境中からどれだけ人体に取り込まれ、健康にどのような被害をもたらすのか、水質・土壌、農産物・水産物、血中濃度といった広範な調査・研究が急務だ。
(環境衛生学)