市民団体「議論より対策を」米PFAS厳格化案 日本政府に早急な対応求める


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PFASに関する調査で米軍普天間飛行場、嘉手納基地周辺などで採取された土壌=2022年12月12日(県提供)

 米環境保護局(EPA)が飲み水に含まれるPFOSとPFOAの濃度の規制値案を公表したことで、市民団体からは日本政府に早急な対応を迫る声が上がった。

 調査団体「インフォームド・パブリック・プロジェクト(IPP)」の河村雅美代表は、米規制値案に至るまでに市民団体が意見を出し、研究者が科学的根拠を示し続け、米国政府・議会と連携してきたことを指摘した。

 その上で、世界保健機関(WHO)の暫定ガイドライン値(水1リットル当たりPFOSとPFOAの合算100ナノグラム)を軸に規制を検討している日本政府の動きを「様子見の姿勢で、米軍基地がある沖縄の危機感とかけ離れている」と批判した。

 日本の現行の暫定指針値(50ナノグラム)は米国の規制値を参考に設定された。市民団体「有機フッ素化合物(PFAS)汚染から市民の生命を守る連絡会」共同代表を務める桜井国俊沖縄大名誉教授は「米国は定量限界値として4ナノグラムを示した。日本も同じように設定すべきだ」と強調した。米軍基地由来とみられるPFAS汚染問題の解決は「日本政府の姿勢にかかっている」として、米政府に対応を強く求めるよう訴えた。

 米軍普天間飛行場に隣接する宜野湾市立普天間第二小の敷地からは、PFASが高い値で検出された。独自に調査を行った市民団体「宜野湾ちゅら水会」の町田直美共同代表は新規制値案を評価しつつも、「子どもたちの安全が脅かされている。数値の議論よりもまず具体的な対策を早急に実施してほしい」と訴えた。
 (新垣若菜、安里周悟)