投打共に仕上がり順調 強化試合は負けなし<駆け上がれ!センバツ沖尚の挑戦>下


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打撃練習で打ち込むリードオフマンの知花慎之助=八重瀬町
140キロ台の直球の強化を図ってきた主戦の東恩納蒼

 九州一までたどり着いた昨秋の公式戦で沖縄尚学は、チーム打率が4割7厘と選抜出場校トップを記録するなど強打を誇る。投げては最速145キロの本格派右腕、東恩納蒼を中心に投手陣を組み立てる。4日から取り組んできた県内外7チームとの強化試合は全て勝利。現地移動後の3試合も引き分け一つで負けなしと仕上がりは順調だ。

 打の「キーマン」はリードオフマンの1番知花慎之助。九州大会4試合で打率7割1分4厘の成績を残すなど抜きんでた打撃力で引っ張った。後ろには勝負強い佐野春斗や長打力のある主砲の仲田侑仁が並び、投手の東恩納蒼も好機に強さを発揮する。

 知花は地面に平行に振り、ボールを正面から捉えるバットの軌道を強く意識。体にしみ込ませるために徹底して振り込んできた。身長186センチ、体重90キロ台の仲田はスイングの切れを引き出すため、九州大会からさらに体重を絞り、速球への対応力を磨いた。強化試合は鋭い当たりを見せるなど調子は上向きの様子だ。

 2番手が課題とされる投手陣も安定感が出てきた。強化試合では、主戦の東恩納が登板を控えた松山聖陵(愛媛)戦は打ち込まれたが、その後の糸満、星琳(福岡)との試合は、儀部皓太朗ら3投手が受け持ったイニングをしっかり投げ抜いた。14日は大阪に3―3、東播磨(兵庫)に7―1、15日の智弁学園(奈良)は5―0で投打がかみ合った。

 1回戦は開幕日の第3試合。比嘉公也監督は「初戦が一番難しい」と得点力を前に粘り強い投球ができるかが鍵を握ると見る。やはり柱となるのは東恩納。九州代表として出場し先発した明治神宮大会では、初戦の仙台育英(宮城)に逆転負け。4―0のリードで迎えた九回に無念の5失点を喫してしまった。悔しい一方で「1球の大切さを知った」と学びも多かった。

 念願だった大舞台。東恩納は主将の佐野と中学硬式の那覇ボーイズで全国の切符をつかんだが、コロナの影響を受け中止となり「力を試すことができなかった」。それだけに甲子園の舞台に強い思いを寄せる。

 初戦の大垣日大(岐阜)戦へ。佐野は「きっと最後まで苦しい展開になる。簡単に折れるな」とチームを鼓舞し続けている。神宮と同じ事は繰り返さない。頂点を目指し、勝利を重ねて隙のない野球を完成させる。
 (謝花史哲)


 高校野球の選抜大会が18日に甲子園で開幕し、昨秋の九州大会を制した沖縄尚学が出場する。9年ぶり7度目の挑戦。3度目の優勝を目指すチームを紹介する。