ファンタジーの世界へ 劇団四季「人間になりたがった猫」 沖縄公演、観客を魅了


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フィナーレで舞台に集う出演者=5日、宜野湾市の沖縄コンベンションセンター劇場棟

 劇団四季のファミリーミュージカル「人間になりたがった猫」(沖縄テレビ放送主催)が5日、宜野湾市の沖縄コンベンションセンター劇場棟で開かれた。人間の素晴らしさを描いた心温まる物語を、歌やダンスと共に陽気に演じた。

 人間に憧れる猫のライオネル(分部(わけべ)惇平)は、主人で魔法使いのステファヌス(川地啓友)に、2日間限定で、人間にしてもらう。欲深い人間を嫌うステファヌスは、好ましくないことを考えるライオネルを、「罰」として人間にしたのだった。ライオネルはスリや詐欺などの悪事、権力による横暴がまかり通る人間の世の洗礼を受ける。やがて、誠実に生きるジリアン(石村知幸)に恋をする。

 幕前でのライオネルの一人語りの後、幕が上がった舞台には、大きな森のセットが広がった。ライオネルは、ステファヌスの魔法で一瞬にして、猫から人間の姿へと変身。幕開けから観客を一気に、ファンタジーの世界へと引き込んだ。

 ライオネルが訪れた町の市場の場面では、風船屋に花屋、果物屋など約20人がにぎやかな歌と踊りを披露した。ライオネルは大勢の人々に戸惑いながらも、悪役・スワガード(東泰久)や、宿を一人で切り盛りするジリアンと出会い、人間について学んでいく。ジリアンの宿が炎に包まれる終盤、熱を帯びる芝居と崩れ落ちていくセットの迫力に、観客は息をのんだ。

 終演後、観客の拍手は鳴りやまず、何度もカーテンコールが行われた。

(藤村謙吾)