デニー知事、長野県の松代壕を訪問 「戦争の実相と教訓、次世代へ」 32軍壕保存の参考に


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松代大本営地下壕を視察する沖縄県の玉城デニー知事(中央)=16日午前、長野市

 沖縄県の玉城デニー知事が16日、長野市の松代大本営地下壕(松代壕)を視察した。玉城知事は、松代壕の保存状況や工事の様子を知ることができた―と視察の手応えを強調。戦争を知らない世代が大半を占める中、「戦争の実相と教訓を次世代に継承することは私たちの重要な責任の一つだ」と述べた。

 沖縄県は、旧日本軍が那覇市の首里城地下に築いた第32軍司令部壕(32軍壕)の保存と一部公開に向けた調査を進めている。松代壕の取り組みを参考にする狙いで、初訪問が実現した。

 地元のNPO法人松代大本営平和祈念館が一般公開されている「象山地下壕」を案内。玉城知事は、自身のスマートフォンで写真を撮るなどしながら1時間ほどかけて内部を見て回った。岩に突き刺さったままの削岩機のロッドを見た際には、岩盤をダイナマイトで爆破する方法を尋ね、工事で多くの朝鮮人労働者が犠牲になったことなどを聞いた。

 旧日本軍は本土決戦を見据えて政府機関などを移転するために松代壕建設に取りかかり、沖縄では持久戦を強いた。

 昨年迎えた沖縄の日本復帰50年に合わせた信濃毎日新聞と琉球新報の連携をきっかけに、沖縄戦研究者らでつくる訪問団が発足。松代壕を視察するなど市民レベルで学び合う動きが生まれている。

 視察後の取材で、玉城知事は15日に県庁で阿部守一知事と両県の交流を包括的に進める連携協定を結んだことにも触れ、「若い世代の平和学習を含め、平和な未来をつくりたいという思いにつなげるため、長野県とも連携して取り組みたい」と語った。

(信濃毎日新聞提供)