沖縄県などは17日、他国からの武力攻撃を想定し、先島地方の住民や観光客ら計12万人を九州へ避難させることを想定した国民保護図上訓練を県庁で初めて実施した。先島の5市町村や内閣官房、総務省消防庁、県警、自衛隊などから約100人がオンラインも含めて参加した。
他国からの武力攻撃が開始される前の「武力攻撃予測事態」認定前後の初動対応と連携を確認した。出席者からは船舶や航空機などの輸送力の確保や運用に関する課題を挙げる声が相次いだ。
政府は事態認定後、県全体を要避難地域に指定し、先島地方に島外避難、本島地域に屋内退避を指示した。県の避難指示に基づき、竹富町と与那国町の住民は一時石垣市へ、多良間村の住民は一時宮古島市へ集結し、両市の住民や観光客とともに6日間で九州へ避難させるシミュレーションを示した。
県によると、訓練は国民保護法に基づくもので、武力攻撃事態認定前後の関係機関の初動対応と連携を確認することで国民保護措置の実効性の向上を図るとしている。
玉城デニー知事は訓練には参加しなかったが、同日の会見で「武力攻撃事態や大規模テロなどの緊急事態、緊急対処事態はあってはならない非常事態だ。一方、万一発生した場合には、住民の生命、身体生命を守る国民保護措置の対処能力の向上を図ることも必要だ」と述べた。
(梅田正覚)