「安保が沖縄に犠牲強いる」 那覇でシェルターシンポ 基地と性暴力考える


この記事を書いた人 田盛 良一
軍隊と女性の暴力について話す登壇者=7日、那覇市の県男女共同参画センターてぃるる

 性暴力被害者を支援する人たちが集まり、求められる支援などについて考える「第18回全国シェルターシンポジウム2015in沖縄 性暴力禁止法の制定に向けて 命どぅ宝 暴力のない世界へ」(NPO法人全国女性シェルターネット主催)が7日、那覇市の県男女共同参画センターてぃるるで始まった。戦後70年に合わせ沖縄で初開催。全国から約300人が参加し、沖縄戦から70年続く軍隊による暴力や、被害者が生き延びられる社会の在り方について考えた。

 基調講演で強姦救援センター・沖縄REICO(レイコ)の高里鈴代代表は70年前の米軍上陸から現在まで沖縄の女性たちがさらされてきた暴力について説明し、「暴力のない社会の最低条件は戦争の道を選ばないこと」と強調した。
 「基地・軍隊と女性への暴力」と題したシンポジウムには精神科医、研究者、支援者が登壇した。
 精神科医の竹下小夜子さんは「沖縄は安全保障のために犠牲を強いられている。安全保障は誰を守っているのか」と問い掛け、「基地を抱えることで標的となることを沖縄の人たちは認識している。基地の問題は命の問題」と話した。
 佛教大学の若尾典子教授は日本本土の米軍基地が住民の反対運動で、沖縄や韓国に移ったことで、本土では基地の危険性や憲法9条と米軍基地の整合性の問題が見えなくされてきた歴史を説明。「沖縄の基地の問題は国民の『安保ぼけ』とセットになった日本政府の問題」とした。
 憲法には全世界の国民が恐怖と欠乏から免れ、平和に生存する権利を保障していることに触れ、「(基地や軍隊を拒否する)沖縄の女性たちの運動はそれを実践している」と評価した。
 高里代表は1995年の少女乱暴事件が発生した日から20年に関連し、マスコミが特集を企画したことを挙げ、「たくさんの事件の被害者が何かを言える環境も支援体制もない中で、無神経に取り上げるのはセカンドレイプと同じ」と批判した。沖縄戦から続く貧困やジェンダー不平等、性の商品化などが沖縄の若い女性たちを厳しい状況に追い込んでいることも指摘した。