「一人では見ることができなかった」目頭押さえ、声詰まらせ 空手の喜友名・金城・上村さんら引退会見


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引退会見の最後に花束を受け取り、長男の冴空さん(手前)と笑顔で写真撮影に臨む喜友名諒さん=17日午後、豊見城市の沖縄空手会館(小川昌宏撮影)

 沖縄空手会館で17日に行われた喜友名諒さん(32)、金城新さん(31)、上村拓也さん(30)の引退会見。昨年12月のアジア選手権制覇を区切りに第一線を退く3人は、現役生活への思いを言葉にした。喜友名さんは「空手を通してたくさんの方と出会い、多くを経験できた。人生の宝物だった」と述べた。

 3人が所属する劉衛流龍鳳会の指導者の佐久本嗣男さん、清水由佳さんと会見場の道場に姿を見せた3選手は、深く一礼するとゆっくりとした足取りで席に着いた。時折、目元に力を入れ、声を詰まらせながらも言葉を紡いだ。喜友名さんは盟友の金城さん、上村さんの話になると、「仲間でありながらライバルとして戦い、先輩後輩であり相談する友達のような存在。一緒に戦って来られたことを誇りに思う」とかみしめた。金城さんは「一人では見ることができなかった世界の景色を見させてもらった」と目頭を押さえ、上村さんは「3人だったら世界一になれるという思いがあった」と口にした。

 引退した3人から次世代の団体形を担う選手として名前を挙げられた、同門の池田竜晟さん、島田辰夫さん、高良蒼空さん。高良さんは「自分たちの目標であり、ヒーローだった」と3人の活躍を振り返りながら、「先輩たちから渡されたバトンに恥ずかしくないようなチームにしていきたい」と活躍を誓った。

 会見場には家族らの姿もあった。見守っていた喜友名さんの妻の絵理さん(32)は「試合のたびに立ち会っていた緊張感がなくなるさみしさもあるが、お疲れさまと声をかけたい」とねぎらった。
 (高橋夏帆)