私が性の健康教育を学び続ける理由 東さよみ(助産婦)<未来へいっぽにほ>


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東さよみ(助産婦)

 谷川俊太郎の「生きる」という詩があります。「生きているということ いま、生きているということ それはのどがかわくということ…」と続く詩が私は好きです。過去に何があり、未来に何が待っていても、「今、私はここに在る」と意識を今に立ち返らせてくれます。

 性教育もまた、私がそのままここにあっていいと思わせてくれる学びであり、これからも学び続けたい理由です。私自身もそうであったように、世の中に生きづらさを感じる人は少なくないと思います。自分がなぜ生まれてきたのか、哲学や倫理学のように漠然とした命の意味を探していた思春期。今思えば、助産婦になりたかったのも、命の現場で私が生まれた意味を探そうとしていたのかもしれません。その答えは今もはっきりしませんが、ひとつ大切なことに気づくことができました。すべての命はかけがえがなく尊いということです。飾らず、背伸びせず、そのまま在るだけで尊いということです。

 命やこころは目に見えません。見えないものを大切に、と言われても小さな子どもたちには難しいです。性教育では、からだからアプローチします。からだは目に見えて具体的です。就学前の幼児期、8割の子どもが「赤ちゃんってどこから生まれてくるの?」と聞くそうです。好奇心いっぱいの素直な問いに、どう答えようかと困ったことはありませんか。おとなも正しい性教育を受けていないのです。

 性の話題をタブーにしているのはおとなの側です。親子で一緒に学びましょう。子どももおとなも豊かに生きるヒントがたくさん詰まった学びだと私は確信しています。