非正規公務員、パートが95% フルタイムなし15自治体 会計年度任用制度の影響も


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 3月8日の国際女性デーに合わせ、琉球新報が県内自治体を対象に実施した調査で、役所の会計年度任用職員(非正規職員)の約7割超が女性であることが分かった。住民生活に直結する自治体の行政サービスを有期雇用・低賃金の厳しい労働条件で働く女性たちが担っていることが浮き彫りになった。調査の内容を詳報する。

女性が7割

 本紙アンケートによると県と全41市町村の首長部局と、県立学校を除く教育委員会勤務の会計年度任用職員1万3955人のうち、女性が1万687人だった。これは会計年度任用全体の76.6%に当たる。

 一方で正規職員1万6432人のうち、男性が9998人、60.8%を占めた。

 会計年度任用の働き方は、フルタイムとパートタイムの2種類がある。調査では、会計年度任用のうち、1万3221人(94.7%)がパートタイムだった。またフルタイムの会計年度任用がいない自治体は15自治体に上った。

 フルタイムは1週間当たりの勤務時間が38時間45分(1日につき7時間45分)。パートタイムは4週間を超えない期間につき、1週間当たり38時間45分に満たない範囲内で働く。

 2020年4月の会計年度任用制度の新設に伴い、フルタイム・パートタイムともにボーナスが支給されるようになったが、パートタイムは退職金が出ない。

 豊見城市は制度導入前はフルタイムの非正規職員がいたものの、制度導入後はパートタイムしかいない。理由について市は「制度の切り替えの時に業務内容を各部署に聞き、実情を考慮した上でパートタイムのみの任用になっている」と回答した。

 制度の導入前から、知事部局にはフルタイムの非正規職員がいなかったという県は、その理由として「会計年度任用は常勤を必要としない業務を担っているため」と説明した。

 地方自治総合研究所のまとめでは、県内41市町村の非正規職員全体に占めるフルタイムの割合は16年度の54%から20年度の6%に激減。一方、パートタイムは46%から94%に増えたことが分かっている。総務省は、財政上の理由で、勤務時間をフルタイムよりわずかに短く設定してパートタイムとすることは適切ではないとしている。

雇用形態に男女差

 正規職員と会計年度任用で、男女の比率が大きく異なる自治体もあった。那覇市の正規職員は男性1085人(54%)、女性938人(46%)と大きな差はないが、会計年度任用は男性が333人(19%)に対し、女性は1411人(81%)だった。その理由について、市の担当者は「分析をしたことはない」と前置きした上で「さまざまな理由でフルタイムでの勤務が難しいことなどから、非正規に女性の応募が多くなっている可能性は考えられる」と推察した。

 久米島町と粟国村は、正規職員と会計年度任用のいずれも男性の方が多かった。
 (嶋岡すみれ)