沖縄県金武町伊芸で2022年7月、民家勝手口のドアガラスが割れ、重機関銃などで使用される銃弾内部の弾芯が見つかった件で、県警が2月、米軍キャンプ・ハンセン内の恩納村側に位置する射撃場「レンジ7」で立ち入り調査を実施したことが25日までに関係者への取材で分かった。
関係者によると、民家でガラスが割れるような音を家主が聞いた7月6日、レンジ7では実弾射撃訓練が行われていた。米軍側は県警の聞き取りに、6日の訓練実施を認めているという。
弾芯はジャケットと呼ばれる外側の装甲部が欠落した状態で発見された。勝手口のガラスが割れ、外側の網戸は破れて溶けたような跡も見られた。民家周辺には跳弾した痕跡は確認されておらず、ジャケットも見つかっていない。県警はあらゆる可能性を念頭に、これまで発射装置などを用いて、繰り返し飛来状況などの詳細な検証を実施してきた。
関係者によると、県警は米軍側と交渉を進め、米軍施設内で2月、立ち入り調査を実施。射撃場と民家との距離や位置関係、射角などを確認した。弾は発射された後、何かに接触するなどしてジャケットが外れ、跳弾となって飛来したと推察される。米軍側が立ち入り調査に応じた背景には、レンジ7での射撃訓練の安全配慮策などを示し、関与を否定する狙いもあったとみられる。
同町伊芸では08年、駐車中の車のナンバープレートにジャケットの欠落した弾芯が被弾した。この際、レンジ7から飛来した可能性が高いとされ、県警は立ち入り調査を行った。関係者は「(今回)被弾した民家とレンジ7の位置関係や射角、同射撃場からの被弾例を踏まえ、重機関銃に関連する弾芯との特殊性も加味すれば、米軍基地由来との見方が強まる」と話す。
弾芯を巡っては、発見当日、沖縄防衛局は「当該銃弾にはさびのようなものが見て取れる」と報道陣に公表。翌日、在沖米海兵隊は防衛局を通じて「古く腐食した」もので「どの火器からも発射されたはずがない」との見解を示し、関与を否定していた。