うつ復職者に切れ目なく支援 再発防止へ独自プログラム 浦添・ボウルの「はたさぽ」とは


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「はたさぽ」の活動内容を紹介するチラシ

 うつ病で休職した人のリワーク(復職)支援などに取り組むBowL(ボウル、浦添市伊祖)が、復職後6カ月に対応した独自のプログラムを展開している。職場復帰後の就労定着率は82%に達するなど、成果を上げている。ボウルの取り組みと、プログラムを利用した当事者の経験を紹介する。

 厚生労働省によると、うつ病の再発率は60%。2度罹患(りかん)すると再発率は70%、3度罹患すると再発率は90%に達するため、就労を継続するには、再発を未然に防ぐことが重要になる。

 そのため2018年4月、厚労省はうつ病など障がいがある人の就労定着を支援するために、障害者総合支援法に定められた障害福祉サービスの一つとして、就労定着支援を始めた。就労・復職後7カ月目から、支援員が本人や家族、職場などと情報を共有しながら、生活に関する相談、指導・助言などを一定期間行い、就労継続をサポートする。

 だがボウル取締役の德里政亮さんは「復職後の6カ月が最もうつの再発リスクが高いと言われているが、国の制度だと、一番大変な時期を一人で乗り越えないといけない。うつ病を初発で防ぐためには、切れ目のないサポートが必要だ」と指摘する。

 ボウルはこうした現状を踏まえ、ボウルを利用して職場復帰した人を対象にしたプログラム「はたさぽ」を提供している。「はたさぽ」は月に1回、ボウルスタッフと面談をしたり臨床心理士によるカウンセリングを受けたりして復帰後の課題整理などをする「ぷらさぽ」と、毎月月末に復帰者同士が集まりゼミ活動などをする「ぐるさぽ」の二つから成る。現在は十数人が利用している。

 6カ月1クールの「はたさぽ」が終わると、国の障害福祉サービスを使った就労定着支援に移行する。復職後も切れ目なく支援することで、うつ病の再発を防ぎ、自分らしい働き方を実現できるようサポートする。

 リワークプランナーの石川ひな子さんは「復帰したから終わりというわけではなく、復帰後の課題がまた新たに出てくる。再発予防のためにも、継続的にプログラムを利用しながら、病気との付き合い方や自分のケアの方法について学び、考えるきっかけになれば」と話した。

 「はたさぽ」の利用料は月5500円。一般の人でも月1万1千円で利用することができる。問い合わせはボウル、電話098(879)0167。
 (嶋岡すみれ)