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ボウル独自の復職後6カ月のプログラム「はたさぽ」を受け、現在は就労定着支援を利用している那覇市の40代男性が、30日までに本紙取材に応じ、自身の経験について語った。
「『いなくなってしまいたい』という気持ちが芽生えた」。教育関係の仕事をしている男性は、うつ病で休職した当時の自身の心境をこう吐露した。20代、30代のころはどんなに仕事が大変でも、睡眠時間を削るなどして体力でカバーしてきた。誰かに頼るという考えはなく「自分の力で100%やらないと」と思い込んでいた。だがそうした考えは次第に自分を追い詰めていった。
メンタルクリニックに通うようになり、睡眠薬に頼らないと眠れなくなった。「いなくなってしまいたい」という希死念慮(死にたいと思う気持ち)が頭に浮かぶようになった。うつ病と診断され、休職した。
休職から約3カ月後、ボウルに通い始めた。認知行動療法や、瞑想(めいそう)やヨガなどを使った心のトレーニング方法「マインドフルネス」などさまざまなプログラムを受けた。次第に自分の思考回路や責任感が自分自身を苦しめていたことに気付いた。「このくらいでいいんだ」。ほどよく「手を抜く」大切さを知った。
ボウルの「はたさぽ」を利用しながら復職した。復職した人が集まる場「ぐるさぽ」は「同じような境遇の人が頑張っていることが分かって、いい刺激になっている」と話す。月に1回のボウルスタッフとの面談は、自分の気持ちを整理し、日々の生活を見詰め直す時間だ。
現在復職から約1年がたった。睡眠薬がなくても眠れるようになり、状態は安定している。それでも、うつ病を再発するリスクはまだある。だからこそ、継続的に見守ってくれる人がいるのは心強いと感じている。「これからも働き続けたい。だからこそ、頑張り過ぎず、周りの人に頼ることも大切だと思う」と自身の経験を振り返りながら語った。
(嶋岡すみれ)