「沖縄戦の時を閉じ込めた」 丸木夫妻の「沖縄戦の図」が映画に 全14部の絵を紹介


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ドキュメンタリー映画「丸木位里・丸木俊 沖縄戦の図 全14部」の完成を発表する(右から)河邑厚徳監督、佐喜眞道夫館長、佐喜眞淳助監督=1日、宜野湾市の佐喜眞美術館

 ドキュメンタリー映画「丸木位里(いり)・丸木俊(とし) 沖縄戦の図 全14部」が完成し、1日に宜野湾市の佐喜眞美術館で記者発表があった。映画は14部からなる「沖縄戦の図」全てを紹介し、絵が描かれた現場や関係者の証言なども記録した。河邑(かわむら)厚徳(あつのり)監督は「沖縄戦の時を閉じ込めた作品。戦争がなくならない今の時点から、改めて絵を見直してみてほしい」と語った。

 「沖縄戦の図」は、「原爆の図」など戦争の惨状を描き続けた画家、丸木夫妻が1983年から87年にかけて手掛けた作品。沖縄戦体験者の証言に基づいて描かれた。

 佐喜眞美術館は一部を常設展示しているが、映画では全14部を見ることができる。絵に描かれた久米島や喜屋武岬、渡嘉敷島での「集団自決」(強制集団死)の現場にいた吉川嘉勝(よしかつ)さんの証言、丸木夫妻が滞在した場所も収録した。

 14部の絵の撮影に20時間以上をかけた。河邑監督は「絵をズームアップしたり動かしたりして見ることで、自分が(沖縄戦の)現場にいるように錯覚する」と映像で表現する意義を語った。製作担当の佐喜眞道夫館長は「(丸木夫妻は)沖縄の人たちとみんなで描いた絵だと言っていた。多くの沖縄の人に届けたい」と話した。

 映画は15日の沖縄国際映画祭で上映される。一般向けは6月17日から桜坂劇場で先行上映され、夏以降、全国で順次公開予定だ。

(田吹遥子)