【読谷】1日に開かれたチビチリガマの慰霊祭に「集団自決」(強制集団死)の生存者が初めて参加できなかった。高齢化が主な理由で、チビチリガマ遺族会の與那覇徳雄会長は「沖縄戦の記憶継承と平和発信は今後、若い人たちに委ねられた」と述べた。前参院議員の糸数慶子さんが主催するピースツアーの参加者約50人のほか、地元の読谷村からは村職員労働組合青年部の役員ら7人が参加し、非体験者として沖縄戦をどのように伝えるかについて考えた。
村職労青年部は約10年前から参加している。慰霊祭の前には研修などを通して、チビチリガマを含む沖縄戦の出来事について学ぶなど、反戦平和を掲げて活動している。
体験者から話を聞いたり、学習した場所を実際に訪れたりしなければ、想像することも難しいという思いもあるという。
午後1時過ぎから始まった慰霊祭は、ガマ内にある祭壇の前に遺族や関係者らが集まり、手を合わせた。青年部のメンバーも一緒に入った。「内部は蒸し暑く、若干呼吸もしづらかった」と津波峻一さん(33)。「体験者じゃない私たちは実際に戦場となった場所に来ることで、リアリティーを持って想像できる」と参加を続ける意義を語った。
大湾近晃(ちかあき)さん(26)は体験者の高齢化に触れた上で「自分らの子どもが戦争について学ぶとき、体験者は身近にいないはずだ。今日のことを伝えていく責任を感じる」と述べた。
青年部の大城愛士部長(33)は「ガマの中で遺族の顔を見て、心が締め付けられる思いだった。78年前に実際に起きた悲劇から学ぶことも大事だが、この記憶を後生にどのように伝えていくかを考えることも重要だ」と振り返った。そのためにも「限られた時間の中で積極的に体験者と会い、まずは非体験者の自分が体験者の思いに触れたい」と語った。
(名嘉一心)