下を向いた日々から幸せ感じる日々へ 発達障がいのある子の成長を見守る家族の生活が変わったきっかけ


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発達障がいを抱える喜納隼人さん(中央)との生活を語る母親の綾子さん(右)=1日、西原町のさわふじ未来ホール

 【西原】4月2日の世界自閉症啓発デーや発達障害啓発週間(2~8日)を記念した講演会が1日、沖縄県西原町のさわふじ未来ホールで開かれた。発達障がいのある喜納隼人さん(26)と母親の綾子さん(58)が登壇。綾子さんは多くの人に支えられながら日々成長する隼人さんから「多くの幸せをもらっている」と語り、障がい児を育てる親に向けて「『あなたはできる』と子を信頼し、どんな小さなことでもできたことに喜びを感じられたら幸せになる」と語りかけた。

 隼人さんは3人兄弟の末っ子で、1歳半の頃に「自閉的傾向がある」と診断された。幼少期は「とにかく多動で、スーパーに行くにも閉店間際など人が少ない時間帯を狙って行っていた」と振り返った。日々の生活に追われ、明日のことを考える時間もなく「下を向く毎日の連続だった」。

 そんな生活が変わるきっかけが保育園や小学校など外の世界との関わりだった。北中城中ではバレーボール部に所属し、公式戦にも出場した。同級生や支援員のサポート、本人の努力もあり、現在はロワジールホテル那覇に勤務し、フルタイムで働く。北中城村からバスで通勤し、休日には北谷町など自分が行きたい場所に一人で出かけることもある。隼人さんは将来の夢について「お母さんのために家を造りたい」と力強く語った。

 会場には、隼人さんが小学生の時に関わっていた特別支援員の玉城若子さんやバレー部の顧問だった上里厚さんなどがサプライズで登場し、隼人さんは喜びの表情を見せた。

(吉田健一)