読谷村大木の高台にある自宅の一室で「レアーズ だがしやさん」を開いている波平美和子さん(37)。波平さんがベランダに風船をくくりつけると開店の合図だ。地域のあちこちで遊ぶ子どもたちが、風船を見て駆けつけ、まもなく店内にあふれかえる。波平さんに駄菓子屋を営む理由を聞いた。
―開店のきっかけは何か。
「子育てする中で母同士のつながりができた。1人で悩みを背負い込んでいるお母さんや、悩みを抱えている子の話を聞く機会が多かった。私は話せば楽になるタイプだが、発散できず思い詰める人もいる。気軽に来ることができて、みんなが楽になれる居場所をつくりたかった。『レア』はハワイ語で喜びを意味する。子どもとゆんたくして、喜びを分かち合いたい」
―どうして駄菓子屋なのか。
「まずは子どもたちと友達になろう! と思った。幼かった頃、近くの商店に駄菓子や文具を買いに行っていた。お店のおじさんと話したり、お金の使い方を学んだり、家族とは違う大人とのコミュニケーションは勉強になった。いつしかこんな場所をつくりたいと思うようになった」
―無料でおにぎりも配っている。
「保護者が働いていたり、夜に部活があったり、おなかをすかせている子は少なくない。まだ力不足でおにぎりで精いっぱいだが、誰でも気兼ねなく手に取れる形にしている。私たちだけでは無理なので、地域の皆さんと一緒に、『みんなで食堂』みたいに食事を囲むような場所もつくっていけたらと夢見ている」
―駄菓子屋の意見ボックスへの投函(とうかん)がきっかけで、地域の学校で「子ども企画部」ができた。
「今年2月に子ども企画部で開催した『こどもまつり』を手伝った。あくまで子ども発信で、大人は子どものやりたいことを後押しする形にした。メンバーが小中高校生にまで広がり、みんなでつくり上げることができた。おかげで駄菓子屋さんに来る子の保護者などたくさんの友達もできた」
―畑活動の「はるさーくらぶ」は、どのような活動か。
「子どもに畑を割り当て、10月から3月まで野菜を育て収穫している。体験からの学びは大きく、土に触れる機会をつくりたかった。今後は期間を広げて夏野菜も育てていきたい。規格外の野菜を使ったスムージーなど、アイデアが子どもから出てくる。子どもが何かやりたい時に一緒にやろうと言える場所にしたい」
―今後の目標は何か。
「子どもからもっと開けてほしいといった声があるけど、『ちょっと待ってね』と言うばかりになってしまっている。人や場所、資金が足りないので、私自身も持続的に運営できる方法を勉強している。地域で子育てするような形にしていきたい」
(聞き手・古川峻)
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なみひら・みわこ 1985年生まれ。沖縄市出身。短大卒業後、福祉関係の職場で働き、子育てを機に退職。3児(12、10、7歳)の母。2021年10月から読谷村の自宅で「レアーズ だがしやさん」を開店。毎週水曜日に開放している。