性的指向の暴露、妊娠への嫌がらせ言動も 沖縄県職員のハラスメント調査


この記事を書いた人 琉球新報社
県庁の廊下(資料写真)

 沖縄県はハラスメントの実態を把握しようと、昨年12月に会計年度任用職員を含む知事部局の全職員約5600人に研修動画を視聴してもらった上で自由記述を含むアンケートを実施した。うち4割から回答があった。上司からのパワハラを見聞きしたとの回答が多かった。一方、本人の許可なく周囲に性的指向を暴露する「アウティング」、行政サービスを利用した県民からの度を超えたしつこい苦情「カスタマーハラスメント」、議員から県職員に対する威圧的な言動などがあったと訴える回答も一部あった。

 県のハラスメント防止に関する指針は1998年にセクハラ対策のため策定された。2011年にパワハラ、21年度にマタハラが加わった。現状は対象となるハラスメントが限られているため、近年顕在化する「新たな形のハラスメント」への対策を求める声が上がった。回答結果の全てがハラスメントに当たるかは不透明だが、県は分析の上、対策を検討する。

 県によると、自由記述では上司が威圧的な言動をしたり、大声で感情的な責(しっせき)をしたりするパワハラを見聞きしたとの記述があった。また、妊娠したことに対する嫌がらせ的な言動を指す「マタハラ」や固定的な性別役割分担意識に基づく嫌がらせ「ジェンダーハラスメント」についても記述があった。

 県関係者は「新型コロナウイルスの感染拡大により、各課から多数の職員が対策本部に配置換えとなり、残った職員で業務を回さないといけないといった余裕がない状況もハラスメントが生まれる背景にあったのではないか」と話した。

 県は調査結果について分析中として詳細は明らかにしていないが、本紙の取材にハラスメントの事例などについて答えた。 (梅田正覚)