坂本龍一さん「静かに話を聞き、海を見つめていた」 辺野古の現場、訃報に悲しむ声 沖縄・名護


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新基地建設が進む名護市辺野古沖を視察する坂本龍一さん=2020年1月3日午後

 【名護】名護市辺野古の新基地建設に反対していた坂本龍一さん。新基地建設が進む現場でも訃報を悲しむ声が聞かれた。

 「また辺野古に来てくれると思っていたのに」。名護市議の東恩納琢磨さん(61)は声を落とした。2020年1月、自らがかじを取るグラスボートに坂本さんを乗せ、大浦湾や辺野古沖の埋め立て現場近くの海域を案内した。「静かに話を聞き、海を見つめていた。自分の思いを率直に語ってくれた」と当時の印象を話す。「著名人で、辺野古問題に向き合い世界に発信してくれる人はなかなかいない。軍拡などの声が大きくなる中、歯止めをかけられるほどの影響力を持つ人の存在は心強かった」と感謝の思いを語った。

 新基地建設の抗議のため、キャンプ・シュワブゲート前を訪れた八重瀬町の大城孝太郎さん(76)も訃報にうなだれた。今年3月にノーベル文学賞作家の大江健三郎さんが死去したことにも触れ、「インターネットで基地問題を巡る真偽不明の情報が行き交う中、工事の現場を直接見聞きして伝えてくれる、大江さんや坂本さんのような文化人の存在は重要だった。こうした人がいなくなるのは残念で今後が怖い」と危機感をあらわにした。
 (長嶺晃太郎)