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憲法にそぐわぬ「国の専管」 識者の見方(3)飯島滋明氏(名古屋学院大教授)「地方自治体、外交の主体になるべき」<自衛隊南西シフトを問う>27


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 防衛や外交に関する地方自治体の関わりについて、憲法学者の名古屋学院大の飯島滋明教授に聞いた。

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防衛や外交は国の専管事項ではないと指摘する飯島滋明教授=3月29日、東京都内

 ―「防衛と外交は国の専管事項だ」と言われるが、どう考えるか。

 「憲法に照らせば正しくない考え方だ。明治憲法下では国があらゆることを一元的に管理していたことが戦争遂行を容易にした。その反省から、現在の憲法では地方自治が保障され、地方自治体に空港や港湾の管理権など強い権限が与えられている。国家警察ではなく地方警察に位置付けたのも同じ発想からだ。地方には国の暴走を防ぐ役割がある」

 「国際法上も、地方自治体が外交に関わることは想定されている。例えば、ジュネーブ条約追加議定書で紛争下に軍事力がない『無防備地域』を宣言する規定があるが、主語は『当局』となっている。国家に限らず、地方自治体が外交の主体となることができると考えられている証左だ」

 ―「国の専管事項だ」という考え方はどこから出てきたのか。

 「日本政府がそう言っているだけだ。ただ、国民の間でも地方自治体が外交・防衛政策に関わるべきだという考え方が浸透していない。全国各地で国外の地域と姉妹都市としての関係を結ぶ取り組みは広く行われてきた。外交の一種だが、やってはいけないという話にはなっていない。神戸港(兵庫県)に入る外国軍艦に核不搭載の証明書提出を義務付ける神戸市の例もある」

 ―政府が進める防衛力強化の計画に県や市町村はどう関与できるか。

 「首長は憲法上、特に地域住民の命や暮らしを守る責任を有する。空港や港湾、道路が軍事目的に使われる場合は拒否できる。憲法尊重義務は国のみならず、自治体の首長にも課されている。地域住民を守る観点から判断すべきだ。もちろんインフラ整備は適切になされれば地域の活性化につながる。軍事につながらないか監視し、つながりそうなことがあれば注意していく必要がある」

 「防衛政策について政府への説明を要求することも重要だ。また、具体的な自治体の権限に関わらない場合でも、住民の生命や安全が脅かされないよう防衛政策全般に対して意見を言うべきだ」

 ―県の地域外交室が始動したが、どうか。

 「国の指導者同士は利害がぶつかりやすい。地域同士や市民間が友好的なつながりを持つことは平和構築にとって非常に重要だ。岸田文雄首相が前中国大使の離任あいさつを断ったというニュースがあった。県が違う外交を取って緊張を和らげることが沖縄に対する攻撃を抑止することにもつながる。憲法上求められる自治体の役割にもかなっている」

(聞き手 明真南斗)

 

 

連載「自衛隊南西シフトを問う」

 2010年の防衛大綱で方向性が示された自衛隊の「南西シフト(重視)」政策の下、防衛省は奄美、沖縄への部隊新編、移駐を加速度的に進めてきた。与那国、宮古島に続き、今年は石垣駐屯地が開設される。22年末には戦後日本の安全保障政策の大転換となる安保関連3文書が閣議決定され、南西諸島の一層の軍備強化が打ち出された。南西シフトの全容と狙い、住民生活への影響など防衛力強化の実像に迫る。

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