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頼り、助け、支え合う 親も子もいろいろ声かけられる環境づくりを<伊是名夏子100センチの視界から>145


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
イラストも描き、手作りした結婚式の招待状

 先日、わが子と公園で遊んでいると、一人の子どもが転んで足を打ち、泣きだしました。一緒にいた友だちが寄り添いながら、ベンチで横になりながらも、ずっと泣いています。足を動かしてもいたくなさそうだったので、骨折ではないようでした。

 近くのスーパーから氷をもらってきて冷やし「家まで送って行こうか?」と聞くと「ママは頭が痛くて寝ているから、5時までは帰ったらダメなの。5時になったらドアを開けてくれるの」と。あと2時間もあります。携帯電話を持っていたので「ママに電話をしてみたら?」と言っても首を横に振ります。お母さん思いの優しい子どもだな、と思ったのと同時に、あまりに母を気遣う姿に苦しくもなりました。

 そんな私も自分の体調が悪かったり、忙しかったりした時は、子どもに「〇時まではママに声をかけないでよ」と伝えることがあります。「何か困ったことがあったら言ってね」とも付け加えますが「お菓子を食べてもいい?」「ママ、これを見て、おもしろいよ」と言われると、ついつい「そんなことはあとにしてよ、5時までは無理って言ったじゃん」と怒ることもあります。公園で泣くその子を見ながら、自分の態度を反省し、親としてどうありたいかを考えさせられました。

 わが子が困ったら助けたいし、逆に悩みを隠されると残念です。でも小さい頃の自分を振り返ってみると、何でも親に相談していたわけではありません。姉や祖父母、友だちや近所の人に甘えたり、打ち明けたりすることの方が多かったです。親としてどうあるべきかと同じくらい、どんな環境で子育てをしたいかも大切だと気づきました。いろいろな人に声をかけたり、かけられたり、親以外の人と助け合える関係を築きたいです。また、困った時には交番や児童館、よく行くお店など、助けを求められるところを増やしていけたらと思います。

 親の私も忙しかったり、予想外のことがあるとイライラしたりする時もあるので、親も子どもも家庭以外のところに助けを求められて、安心できる場所があるといいなと思います。また困っている時ほど助けを求められず、自分が困っていることに気づかないことすらあるでしょう。困っていなくても、普段から人と助け合うことは大切かもしれません。慣れないことばかりの新年度だからこそ、いろいろな人を頼り、助け、支え合いたいですね。


 いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。