日本語と琉球語、どこで分かれた? 金武言葉からルーツ探る 日本女子大・松森教授が調査


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日琉祖語の研究のため「金武くとぅば」の録音に臨んだ(左から)日本女子大学の松森晶子教授、仲田孝順さん、玉元孝治さん=3月28日、金武町の町立中央公民館

 【金武】日本語と琉球語が枝分かれした分岐点を探ろうと、日本女子大学の松森晶子教授(言語学)が3月27、28の両日、金武町立中央公民館で金武くとぅばの発音や語調の調査と録音を実施した。松森教授は「金武くとぅばは、日琉祖語の解明につながる特徴が残されている」と日本語のルーツの解明に向け、意欲を示した。

 松森教授によると、現代琉球諸語のアクセントは基本的に三つの型に区別されるが、時代の変化とともに二つの型に集約されてしまった言葉もある。

 金武くとぅばは、三つの型のアクセントが残っている。調査では県外で同じように三つの型が残されている地方の言葉と比較し、特徴を重ね合わせることで日琉祖語が日本語と琉球語に分岐した時期などについて考察する。沖縄北部で話されていた「北琉球祖語」の一つである金武くとぅばの音声資料が日琉祖語の解明の手がかりにつながる可能性がある。

 28日の調査では、元金武町職員の仲田孝順さん(75)が協力。松森教授が日本語で「まつげ」と読み上げると、仲田さんが「まちぎー」などと一つ一つ同義の言葉を発声した。標準語と比較し、金武くとぅばのアクセントや語調などを丹念に記録した。

 松森教授は「日本語と琉球語がいつ分岐したのかなど、まだ解明されていないことは多い」とした上で「古い日本語の辞書はあるが、アクセントや語調などが分かる音源はない。金武くとぅばのアクセントなどを音源として残すことで、日琉祖語の謎を解明する手がかりにできれば」と述べた。

 調査に協力した仲田さんは「明治生まれの祖母との生活の中で金武くとぅばを学んだ。貴重な地域の言葉を残すと同時に、言葉の起源に関する研究に協力できれば」と話した。
 (松堂秀樹)