2月中旬、お世話になった方々に見送られ、北京に到着した。生活に必要な手続きや滞在ビザ申請などと並行して、大学の講義も始まった。到着直後、沖縄の方々から、こちらの生活にふびんはないかと連絡をいただいたが、外国人教員の対応に慣れたスタッフや協力的な教員、学生たち、近くの商店の店員たちのおかげで、有意義な日々を過ごしている。食事も口に合い、しばらくはホームシックと縁遠そうだ。
私の今の一番の関心事は、中国で沖縄がどのように報道されているかである。2月下旬、瑞慶覧長敏氏(前南城市長)よりCCTV(中国中央電視台)が2月26日に沖縄で開催された集会の報道をしたと連絡をいただいた。中国語はまだ不自由なため内容を理解できないが、「[特別关注―北京]日本沖縄民众大規模集会 反対政府企図重走戦争道路」(【特設ページ―北京】「戦争の道に戻ろうとする政府に反対する沖縄の大規模な集会」2023年2月27日)という見出しからするに、有事につながる政策を進める日本政府に対し、反対の意を示す声を報道している。
数日後の3月2日、今度は「環球時報」が同じ集会を「“反対部署導弾”!沖縄民众拒当美日軍事勾結“炮灰”」(“ミサイル配備にNO”! 日米軍事癒着の“大砲の餌”になることを拒否する沖縄の人たち)という見出しで報じた。
Web翻訳を使って同記事を読んだ。内容は、次の通りだ。第二次世界大戦で犠牲になった沖縄が今度は日米の対中戦略の最前線とされ、軍事要塞化が進んでいる。地元住民はミサイル攻撃から逃れられるシェルターの建設や、日本政府による避難計画の策定を要求する。同時に住民は沖縄が戦場になるのを食い止めるべきだ、と武力によらない平和も訴えている、と。
日本では中国のネガティブなニュースが多く流れる。沖縄の県内在住者の約8割が中国に親しみを感じてない(本紙22年4月24日付)。我々沖縄人は琉球国時代のような「善隣友好の民」ではなくなってしまった。沖縄を再び戦場にしないためには「善隣友好の民」になることではないだろうか。平和を叫び、対話を求めるだけでなく、日本に組み込まれた沖縄人がどのような「間違い」を歴史的に犯し、継続しているかを問い直す作業が必要だ。
近隣の民と対等な関係を構築するための一歩として、継続的な互いの歴史の「間違いの共有化」を協働で話し合い、そこで明らかになる課題解決のための行動計画の策定と実施ができたらと考える。 (第1~4日曜掲載)
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おおしろ・しょうこ 博士(国際公共政策)。北京工業大講師。主な論文に「現代における先住民族居住地の軍事的再植民地化―ハワイ、ディエゴガルシア、沖縄」(大阪大学博士論文)や「権力に抗する―主体的な『連帯』に向けた出会い直し」(共著「北東アジア・市民社会・キリスト教から観た『平和』」燦葉出版社、2022年)など。