2023年県高校野球春季大会で、ウェルネス沖縄を初優勝に導いた。監督就任から約4年で成し遂げた栄冠だが「やるべきことを選手たちが分かっている中でそれができていない。足りないことがまだまだ多い」と選手たちのさらなる飛躍を期待する。
青森山田高の部長、監督として10度の甲子園を経験。大学野球では母校の日大でコーチを務め、全日本大学野球選手権準優勝に貢献した。こうした豊富な経験や卓越した手腕を買われ、19年夏にウェルネス沖縄の監督に就任した。
「公園で子どもたちがはだしで夢中になって野球をしている。強豪校にコールド勝ちした時には、帰り際の運転中に女性から『良かったよ』と声を掛けられたこともあった。こんな場所はなかなかない」と、沖縄の野球熱に驚く。
学校にはグラウンドがないハンディがあるものの、創部わずか3年のチームを監督就任から半年ほどで、20年県春季大会で4強に導いた。21年6月からは高校球児の定番である丸刈りを廃止し、生徒の自主性を促した。同年秋の県1年生中央大会では初優勝を飾り、当時のメンバーが今大会も主力として活躍した。
目指す野球は「お互い誇れるようなチームにしたい。それは真剣に取り組むことができるかということにつながる」と持論を語る。「子どもたちがそれに気付いてくれれば、自然と誇れるチームになる」
座右の銘は「人間到るところ青山あり」。「生まれ故郷でもない青森や沖縄で野球をしている、この環境は野球の神様が与えてくれたと思っている」とはにかんだ。山形県出身の56歳。
(小波津智也)