名護市辺野古の新基地建設で、軟弱地盤改良工事に伴う防衛省の設計変更申請を県が不承認とした処分を巡り、県が国の関与取り消しを求めた2件の訴訟について、県は10日、県の訴えを退けた福岡高裁那覇支部の判決を不服として最高裁に上告受理申立理由書を提出した。玉城デニー知事は「憲法が司法に託した法の番人としての矜持(きょうじ)と責任の下、公平・中立な判断を期待したい」とのコメントを発表した。
国土交通相が設計変更申請を認めるよう県に求めた是正の指示に関して、訴訟での県の主張に対しては裁決の拘束力は認められないとして、3月16日の高裁那覇支部判決が県の主張を認めた部分を除く6点を申し立て理由とした。
このうち、工期が大幅に延長されたことで埋め立ての必要性を欠くとの県の主張について、高裁では「完成にさらに約9年1月を要することになっても、政策課題と整合しなくなったとは言えない」と判示されたが、県側は「裁判所自らが辺野古移設が合理的との判断を行っている」と問題視した。
工事が短期間で済むことは埋め立て承認に当たって極めて重要な要素だったとし、不承認とした県の判断について「事実の基礎を欠いたり社会通念に照らし明らかに妥当性を欠いたりする点はない」と主張した。
(知念征尚)