環境省は12日までに絶滅の恐れがあるジュゴンの生態に関する2022年度調査の結果概要を発表し、今帰仁村古宇利島海域の海草藻場からジュゴンのものとみられる食(は)み跡を確認したことを明らかにした。同海域では2年ぶりの確認となる。
環境省が公表したのは「ジュゴンと地域社会との共生推進委託業務」の22年度版の結果。本島北部や先島諸島の計13海域で生息状況を調査した。
古宇利海域では22年11月15日にモニタリング調査を行い、3地点で計17本の食み跡が確認され、複数の食み跡の密集も1カ所確認された。本島北部の3海域のうち名護市の済井出と嘉陽では確認されなかった。
先島では宮古諸島の伊良部島佐和田と来間島東部、池間島東部、八重山諸島の西表島船浮湾と黒島北部の計5海域で食み跡が確認された。
ジュゴンの個体は確認されていないものの、漁業者や住民の目撃情報では今年2月に伊良部島佐和田の沿岸で2メートル前後の大型動物が確認され、22年4月には宮古島と池間島を結ぶ池間大橋付近の海域でも大型動物が確認されている。
古宇利海域で確認された食み跡について、環境省の担当者は「これまでも継続的に食み跡が発見されており、ジュゴンが生息している可能性を考慮した上でモニタリング調査を続けていく必要がある」と説明した。
(小波津智也)