太鼓作り、沖縄で学びたい ブラジル・県系4世のイサベラさん 16歳で聞いた元ひめゆりの言葉も胸に


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太鼓活動に励む城間イサベラさん

 ブラジルのカンポ・グランデ出身で専門学生の県系4世、城間イサベラ・ロペス・ラチョウスキさん(20)。新型コロナウイルスの感染が世界中で拡大する中、カンポグランデ沖縄県人会の青年会のソーシャル・ディレクターを務めながら、青年会太鼓を創設した。現在は県人会の太鼓創作のリーダーとして太鼓活動に尽力している。

 太鼓以外の活動も積極的で、琉球舞踊太圭流華の会、伊集ジュリアナ琉舞道場、かりゆしエイサー太鼓、獅子舞のメンバーとしても活動している。

 イサベラさんの家系は、1928年から41年にかけて佐敷村(現南城市)からブラジルに移住した。幼少の頃から曽祖母(そうそぼ)の影響で沖縄を身近に感じていたという。曽祖母が琉球舞踊の公演に連れて行ってくれて、家では沖縄の音楽を聴いて育った。

 初めて沖縄を訪れたのは2018年、16歳の時だった。沖縄の同世代と生活を共にして沖縄の歴史や文化を学ぶ、沖縄県主催のウチナージュニアスタディーのプログラムに参加した。3週間滞在して、沖縄戦を生き延びたひめゆり学徒隊の、戦争体験者との出会いが強く印象に残った。「あなたたちの人生は重要であり、どんな困難があっても最後には乗り越えることができる」との言葉に、涙が止まらなかったという。

 イサベラさんは、ウチナージュニアスタディー2023の青年リーダーに応募した。「プログラムで感じた気持ちを後輩たちに伝えていきたい」と思いを語る。

 イサベラさんは専門学校を卒業した後、太鼓の作り方を学ぶために沖縄県費留学に応募する予定という。

 「県費留学に合格できたら、カンポグランデ沖縄県人会の太鼓の制作や継承・普及活動に取り組んで、県人会を積極的に支援したい。積極的に沖縄に足を運び、歴史を学び続けたい」と目標を掲げた。
 (安里三奈美通信員)