8日から宮古島市の下地島空港に緊急着陸していた、韓国の米空軍烏山(オサン)基地所属のF16戦闘機2機が16日、着陸から8日経過して離陸した。下地島空港は建設時の経緯から「屋良覚書」「西銘確認書」に基づき、県は民間機の使用を原則としてきたが、今回は「緊急対応」として容認した。だが、滞在期間が1週間を超え、部品輸送で下地島空港に飛来する米軍機が相次ぐなど「想定外」(県関係者)の出来事が続き、警戒感がくすぶった。
「航空機関連事故は人命や財産に関わる重大事故につながりかねない」
玉城デニー知事は14日の記者会見で、緊急着陸に対し懸念を示した。比較的大きなMC130特殊作戦機など、修理機材や人員運搬で訪れた米軍機の飛来が相次いだことにも言及。「周辺住民にも不安を与えている」と警戒感をにじませた。
それを表すように今回のトラブルで県基地対策課は計3回、防衛局に申し入れを行った。
緊急着陸した8日は、同空港が民間機のほか、陸上自衛隊のヘリが消息不明となった事故で捜索に当たる航空機の使用も増えているとして2機の早期離陸を求めた。
9日には、米軍が銃を携行する警備要員を同空港に派遣した。これを受け、空港外に武器を持ち出さず厳重に管理することや、機体整備が完了し次第、速やかに離陸することなどを求めた。
12日には、修理機材や人員輸送を理由とした米軍機の飛来予定が見通せない状況が続いているとして「民間機への影響が懸念される」として、今後の支援機による使用計画やF16の機体状況、離陸日時のめどなどを示すよう求めた。
また、13日には、F16が空港の使用届を提出しないまま、運用時間(午前8時~午後7時半)を超えてエンジンを動かすなど、離陸準備する事態もあった。
県空港課は、離陸が時間外だと安全性の確保に懸念があるとして運用時間内に行い、事前に使用届を提出するよう米軍側に申し入れた。
支援機の飛来は合計6回に及んだ。使用届を出さない現場レベルでの飛行予告のほか、使用届が出ていてもキャンセルとなる事例もたびたび発生。県関係者は「空港の運用が不安定になりかねない」と頭を抱えた。支援機の飛来が必要最小限だったかも問われそうだ。
県幹部の一人は、1週間以上続いた駐機に「長すぎる」と指摘。エンジントラブルが理由のため「しょうがない面はあるが、いつまでもいていいものではない」と不快感をあらわにした。
(知念征尚、明真南斗)