県教委、学力テストの「自校採点」を各小中学校に依頼 現場教員は「働き方改革に逆行」と反発 県教委「協力するかは学校長の判断」


この記事を書いた人 琉球新報社

 18日実施の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)について、各小中学校に採点(自校採点)と結果のウェブ入力を求める依頼文が沖縄県教育委員会から届いており、教員から「働き方改革に逆行している」「中止すべきだ」と憤りの声が上がっている。

 解答用紙は文部科学省へ郵送し、夏ごろに採点結果や分析結果が届く。しかし県は「なるべく早く結果を把握し、自校の学習指導の改善に役立てる」ことを目的として、文科省からの結果を待たず、各学校で解答用紙をコピーして採点し、学校関係者だけが使用・閲覧できる「学力向上ウェブシステム」への入力を求めている。

 協力依頼は今回初めてではなく「例年のこと」で、県教委が3日に各学校などへ送った依頼文では、採点は正答・誤答・無回答の三つに分類し、20~27日午後5時までのウェブ入力を求めている。県教委は琉球新報の取材に、自校採点は「協力依頼で義務ではない」と説明。協力要請に応じるかは「各学校長の判断による」としている。全国学力テストは県内で小学生1万6424人、中学生1万5844人が受験予定。小学生は6年が国語と算数、中学生は3年生が国語と算数と英語を受ける。

 30代の中学校教員の女性は「解答はしばらくの間、子どもに返却してはいけないという決まりがあり、すぐに見直しをさせることができない。何のためにやってるのか分からない」と憤る。他の女性教員は「家庭訪問もある時期で、とても負担に感じる」と話した。小学校教員の男性は「義務ではなく校長判断に任せるというやり方が問題。県から依頼があれば管理職も断りづらい」と批判した。

 県教職員組合(沖教組)と県高等学校障害児学校教職員組合(高教組)も13日、自校採点の中止を求める緊急要請書を県教委へ提出した。 (嘉数陽)