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バリアフリー、不備でもお互いに話し合いを<伊是名夏子100センチの視界から>146


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 新年度が始まり、新しく出会った人とお茶やご飯に行くこともあるでしょう。感染対策のルールも見直され、より外出や外食が多くなるかもしれませんね。そんな時、障害のある人と一緒だったらどうしますか? 目が見えない友だちと出掛ける時、どうやってサポートしたらいいかと不安になることもあるでしょう。また車いすの人と出掛ける時、お店がバリアフリーかどうか、気になることもあるでしょう。

 大型ショッピングモールはバリアフリーで、車いす用トイレがあり、使いやすいです。しかしカフェやレストランになると一気にハードルが上がります。

特にオシャレな雰囲気のお店は狭かったり、階段があったりと、なかなか利用が厳しいこともあります。事前にグルメサイトに書かれたバリアフリー〇×を見て調べることもありますが、その欄があることにも残念な気持ちになることがあります。なぜなら歩ける人の入店は〇×で書かれることはないからです。配慮のために、便利さのために設けられた項目ではあると思いますが、バリアフリーはあって当たり前のものではなく、オプションサービスの一つのように感じられます。車いすの人は行けない場所があっても当然、ではなく、話し合い、工夫を重ねていくように変えていきたいです。

 もしバリアフリー×と書くのなら、代わりに「事前に電話でお伝えください」「こういう配慮ができます」と詳しく書いてもらえるとありがたいです。また車いす用トイレを設置することが難しい時は、最寄りの車いす用トイレの場所を記載してもらえると助かります。

 お店は不安さや、知識のなさ、設備が整わないことを理由に、障害のある人の入店を断るのではなく、お互いに話し合いを重ねることで、障害のある人は新しいお店を楽しむことができ、お店側もお客さんが増え、お互いにとっていいでしょう。

 また子ども二人を育てていて気付いたのですが、赤ちゃんや子どもに対応しているお店は比較的バリアフリーで、店員さんも優しく対応してくれることが多いです。

 新しい場所に行く時は誰でも不安があると思いますが、車いすだとより困難なことが起こり不安になりやすいです。でも問題を、話し合いをしながら解決することが当たり前になったら、いろいろな人が過ごしやすい場所が増え、誰にとってもお出掛けが楽しくなるでしょう。そんな場所が増えることを願います。


 いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。